【はじめに】
「パートタイマーやアルバイトとして働いているけれど、自分にも有給休暇はあるのだろうか?」 このような疑問をお持ちではないでしょうか。
年次有給休暇(以下、有給休暇)は、一定の要件を満たせば、働き方に関わらずすべての労働者に与えられる権利です。
この記事では、パートタイマーやアルバイトなど、所定労働日数(会社と契約した労働日数)が少ない方の有給休暇について、解説します。
【まずは結論】
パートタイマーやアルバイトの方でも、
- 雇入れの日から6ヶ月間継続して勤務している
- その期間の全労働日の8割以上出勤しているという2つの条件を満たせば、有給休暇は発生します。
ただし、週の所定労働時間が30時間未満で、かつ、週の所定労働日数が4日以下(または年間の所定労働日数が216日以下)の方は、働く日数に応じた日数(比例付与)となります。
【解説】
1. 有給休暇の基本的なルール
有給休暇は、原則として、上記の2つの条件を満たした労働者には、勤続年数に応じて10日以上の有給休暇が与えられることになります(通常の付与)。
2. 「比例付与」とは?
働く日数や時間が短い方については、その勤務実態に応じて有給休暇の日数を調整する仕組みがあります。
これを「比例付与」と呼んでいます。
3. 比例付与の対象になるのは?
以下の(1)と(2)の両方を満たす方が、比例付与の対象となります。
(1) 週の所定労働時間が30時間未満である (2) 週の所定労働日数が4日以下(または、年間の所定労働日数が216日以下)である
4. 【具体例】通常の付与か、比例付与か
具体例で見てみましょう。(※全員、勤続6ヶ月・出勤率8割以上とします)
- Aさん:週5日、1日7時間(週35時間) 週5日勤務であり、週の所定労働時間も30時間を超えています。 この場合は「通常の付与」となり、勤続6ヶ月で10日の有給休暇が発生します。
- Bさん:週5日、1日4時間(週20時間) 週5日勤務で、週の所定労働時間は20時間と短いケースです。 「週5日勤務であるため、週の所定労働日数が4日以下という比例付与の要件⑵を満たしません。したがって、週の所定労働時間が30時間未満(20時間)であっても、「通常の付与」となり、10日発生します。」
- Cさん:週4日、1日7時間(週28時間) 週の所定労働時間が30時間未満(28時間)で、かつ週4日勤務です。 (1)(2)の両方を満たすため、「比例付与」の対象となります。
- Dさん:週3日、1日8時間(週24時間) 週の所定労働時間が30時間未満(24時間)で、かつ週3日勤務です。 こちらも(1)(2)の両方を満たすため、「比例付与」の対象です。
5. 比例付与の日数は何日?
比例付与の場合、有給休暇の日数は以下の表のようになります。 (労働基準法施行規則第24条の3に基づく日数です)
| 週所定 労働日数 | 年間所定 労働日数 | 6ヶ月 | 1年 6ヶ月 | 2年 6ヶ月 | 3年 6ヶ月 | 4年 6ヶ月 | 5年 6ヶ月 | 6年 6ヶ月以上 |
| 4日 | 169~216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
| 3日 | 121~168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
| 2日 | 73~120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
| 1日 | 48~72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
上記の例でいうと、
- Cさん(週4日)は、勤続6ヶ月で7日
- Dさん(週3日)は、勤続6ヶ月で5日 の有給休暇が発生することになります。
6. よくある質問
- 年の途中で働く日数(時間)が変わった場合は?
有給休暇が発生する日(これを「基準日」といいます)時点の契約内容で、その1年間の付与日数が決まります。
例えば、次の基準日までの途中で所定労働日数が変わっても、すでに付与された日数が変更されることはありません。 - パートから正社員になった場合は?
有給休暇の権利を計算するうえでの「勤続年数」は、パートとして入社した日から通算されます。
例えば、パート(週3日)で1年勤務した後、正社員(週5日)になったとします。
次の基準日(入社から1年6ヶ月時点)では、「勤続1年6ヶ月の正社員(週5日)」としての日数(この場合は11日)が付与されることになります。 - 年間の労働日数が48日未満の場合は、有休休暇を付与する必要はないのでしょうか?
まず、契約上の「所定労働日数」が年間47日以下(例えば、月3日勤務(年間36日)など、週平均1日未満の勤務)の場合は、有給休暇の付与義務は発生しません。
ただし、契約書で労働日を「週1回、月曜のみ」とするとした場合、この場合1年間は約52週ですので、契約上の「年間の所定労働日数」は約52日となります。
これは比例付与の対象(年間48日~72日)です。
そのうえで、例えば祝日の関係で、雇入れから6ヶ月間の所定労働日が(26日ではなく)25日になったとします。
この場合であっても、その期間の出勤率が8割以上(この例なら20日以上出勤)であれば、契約に基づき6ヶ月後に1日の有給休暇が付与されます。 - シフト制で、週や月の所定労働日数が決まっていない場合は?
週で所定労働日数が定まっていない場合、有給休暇の付与日数は、有給休暇が発生する日(基準日)の時点で、今後1年間にどれくらい勤務するかによって決まります。
シフト制で所定労働日数が変動する場合、「週の所定労働日数」を決めることが難しいため、「年間の所定労働日数」で判断します。
具体的には、下記のような方法で算定します。
A. 原則は週所定労働日数で算出
B. 週所定労働日数が決まっていない場合、基準日時点の月所定労働日数×12で算出
C. 月所定労働日数も決まっていない場合、基準日直前1年間の実績(6ヶ月時点の付与の場合は、基準日直前6ヶ月の実績×2)で算出
算出したその日数(見込み)を上の表の「年間所定労働日数」の区分に当てはめて、付与日数を決定するのが一般的な方法となります。
【まとめ】
今回の内容を整理すると以下のようになります。
- パートやアルバイトでも、6ヶ月継続勤務・8割以上出勤で有給休暇は発生します。
- 週30時間未満かつ週4日以下(年216日以下)の場合、日数(比例付与)となります。
- 比例付与の日数は、週の所定労働日数(または年間の所定労働日数)と勤続年数によって決まります。
- パートから正社員になっても、勤続年数は通算されます。
【参照元】
- e-Gov法令検索「労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)」第39条
- e-Gov法令検索「労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号)」第24条の3
- 訪問介護労働者の法定労働条件の確保について(平成16.8.27基発0827001)
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