◆はじめに
中小企業の経営者のみなさま、そして日々、現場を支えている人事労務担当のみなさま、今日もお疲れさまです。
ふとした瞬間に、会社の棚に収められた就業規則のことを思い出すことはあるでしょうか。
おそらく、多くの方にとっては、法改正があったときや、あるいは何か困ったトラブルが起きてしまったときに、重い腰を上げて取り出す難しい書類という印象かもしれません。
実は、私自身、社労士として活動する中で、みなさまによくお話していることがございます。
それは、私は就業規則というものが、大好きだということです。
しかし、振り返ってみると、このホームページではその想いをあまり形にできていませんでした。
手続きや、日々の相談業務もあり、またコラムについてもよく聞かれる事項から順に記事化していった結果、就業規則が持つ力をお伝えする機会をどこか後回しにしていたのかもしれません。
そこで今回、新しく就業規則に特化した専門コラムを始めることに決めました。
コラムの名前は「好き好き就業規則」です。
ちなみにこの名前は、私が大好きなAndrew W.K.というミュージシャンの「I Love NYC(邦題:好き好きニューヨーク)」という曲から頂戴しました。
週に一回程度、コラムを通じて、就業規則について、みなさんと一緒に考えていく時間を持ちたいと思っています。
◆就業規則は、会社を守る盾であり矛である
私たちが就業規則と呼んでいるあの冊子には、二つの顔があると感じています。
一つは、会社を予期せぬトラブルから守ってくれる盾としての顔です。
法律を守ることはもちろんですが、万が一、社員との間に誤解が生じたときや、判断に迷うような出来事が起きたとき、就業規則は「私たちの会社では、こう決めていましたね」と、静かに道を示してくれます。
それは、会社を、そしてそこで働く社員を、無用なトラブルから守るための防波堤のような存在です。
そしてもう一つは、会社をより良く、より効率的に動かしていくための矛としての顔です。
矛というと少し攻撃的な響きに聞こえるかもしれませんが、私はこれを道を切り拓くための道具だと捉えています。
就業規則が整っているということは、会社のルールが明確であるということです。
誰が、いつ、どのような基準で働くのか。
それが明確であればあるほど、余計な摩擦は減り、組織はスムーズに回り始めます。
会社が目指す方向へ、迷いなく進んでいくためのエンジン。
就業規則には、そんな力も備わっているのです。
これまでは作らなければならないものとして扱われてきた就業規則を、これからは会社を健やかに育てるための道具として、少しだけ見方を変えてみる。
そんなお手伝いができれば、私自身も非常にうれしく思います。
◆AIという新しい息吹を吹き込む
今回、私がこのタイミングでコラムを始めようと思ったのには、もう一つの理由があります。
それは、今の時代だからこそできる新しい就業規則のあり方を共有したかったからです。
今、世の中では生成AIという技術が急速に広がっています。
実は、就業規則こそ、生成AIと非常に相性の良い存在だと私は考えています。
例えば、NotebookLMのようなツールに、自社の就業規則を読み込ませてみることを想像してみてください。
すると、その就業規則は単なる紙の束から、いつでも対話ができる会社の取扱説明書へと進化します。
「育休の申請はどうすればいい?」 「社員が休職する場合の取り扱いは?」 「社員の懲戒処分は?」といった質問に、AIが就業規則を元に答えてくれる。
経営者や人事労務の担当者が不在という非常事態であっても、就業規則が生きた就業規則として機能していれば、会社は自分自身を守ることができるようになります。
もちろんその為には生成AIに対応した形で就業規則を作ることが不可欠です。
NotebookLMはハルシネーション(AIがつく嘘)を起こす可能性が低い代わりに、就業規則に書かれていないことについては回答することができません。
最低限のことしか書かないように設計されたシンプルな就業規則では、残念ながら生成AIの力を十分に引き出すことが難しいのです。
当所の就業規則は、会社の取扱説明書としての役割を重視しているため、あえて丁寧に言葉を尽くしています。
文字数は多くなりますが、その分、生成AIとの親和性も高くなっています。
デジタルという新しい息吹を吹き込むことで、就業規則はもっと身近で、もっと頼もしい存在になれる。
そんな可能性についても、このコラムで少しずつ触れていきたいと考えています。
◆おわりに
これからお届けする記事は、一つひとつは決して長いものではありません。
お仕事の合間にふらりと立ち寄っていただけるよう、簡潔で分かりやすい内容を目指しています。
形式は、一問一答のようなスタイルを予定しています。
「こんなとき、規則はどうなっていればいいの?」「最近よく聞くあの言葉、私たちの会社にも関係ある?」そんな、素朴な疑問を、一つひとつ深掘りしていければと思います。
毎週一度、定期的にアップしていく予定ですので、どうぞ気が向いたときに覗きにきてください。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

この記事の執筆者
社会保険労務士事務所メインライン
”ここまでやるかと言わせたい!”
【元ホームセンター店長×実務経験7年】
20人未満の中小企業専門社労士です。
手続業務・給与計算・勤怠システム導入支援・退職金制度導入まで、「まるっと」お任せください。
現場を知る確かな実務で伴走いたします。

