「休日」と「休暇」の違いとは?知っておきたい労働者の権利

「休日」と「休暇」の違いとは?知っておきたい労働者の権利

「今度の休みは、有休も使って旅行に行こうかな」 私たちは普段の会話で「休み」という言葉を何気なく使っていますが、働く上でのルールを定める法律の世界では、「休日」と「休暇」は異なる意味を持つ言葉として、区別されています。この投稿では、「休日」と「休暇」の基本的な違い、具体的な種類、よくある疑問を解説します。

「休日」と「休暇」の違いとは?

「休日」と「休暇」の最も大きな違いは、「もともと働く義務がある日かどうか」という点にあります。

  • 休日:労働契約上、元々働く義務がないとされている日を指します。
  • 休暇:本来は働く義務がある日に、申請によってその義務が免除される日です。

休日と休暇の定義と種類

労働基準法における「休日」とは、会社が定めた労働日ではない日のことです。使用者は労働者に対し、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならないと定められており、これを法定休日といいます(労働基準法第35条)。多くの会社では、この法定休日に加えて、土曜日や日曜日、祝日などを所定休日として定めています。

一方、「休暇」とは、本来は働くことになっている日(労働義務がある日)について、従業員からの申し出によって、その労働義務を免除してもらう制度です。休暇は、法律で取得が義務付けられている法定休暇と、会社が任意で設けている法定外休暇に大別されます。

法定休暇(法律で定められた休暇)

  • 年次有給休暇:いわゆる「有休」です。心身のリフレッシュなどを目的とし、労働義務のある日を休むために申請するもので、取得しても賃金が減額されないことが特徴です。
  • 産前産後休業:出産前後の女性の母体を保護するための休業制度です。
  • 育児休業・介護休業:育児や介護のために、まとまった期間取得できる休業制度です。
  • 子の看護等休暇・介護休暇:小学校3年生修了までの子の病気や予防接種等、要介護状態の家族の付き添いなどのために取得できる休暇です。
  • 生理休暇:生理により就業が著しく困難な女性が取得できる休暇です。
  • 裁判員休暇:裁判員に選任された場合に、その職務を果たすために必要な休暇です。

上記のとおり年次有給休暇以外の法定休暇は、有給か無給かは会社の任意となりますが、無給であることが一般的です。

法定外休暇(会社が任意で定める休暇

  • 慶弔休暇:従業員本人や近親者の結婚(慶事)や葬儀(弔事)の際に取得できます。
  • リフレッシュ休暇:勤続年数が一定に達した従業員に対し、心身の休養を目的として付与されます。
  • 病気休暇:業務外の病気や怪我の治療のために、利用できる休暇です。
  • 特別休暇:上記以外に会社が独自に定める休暇の総称で、「アニバーサリー休暇」など多岐にわたります。

法定外休暇は、有給か無給かは会社の任意となりますが、有給である場合が多いです。

よくある質問

Q. 元々の会社の休みに有給は使えますか?

A. 結論から言うと、できません。年次有給休暇は、「労働義務がある日」を休みにするための制度です。会社のカレンダーで元々休みとされている「休日」には、そもそも労働義務が存在しません。そのため、労働義務のない日に労働義務の免除を申請することはできず、有給休暇は利用できないのです。

Q. 無給の休暇に意味はあるのでしょうか?

A. はい、重要な意味があります。休暇の最も大切な役割は、「正式な手続きを経て、承認された休みである」という点です。たとえ給与が支払われない無給の休暇であっても、それを利用すれば「無断欠勤」とは扱われません。これにより、人事評価で不利益を受けたり、会社の懲戒処分の対象となったりすることを防げます。また、産前産後休業、育児休業、介護休業のように、会社からは無給でも給付金が支給されるケースもあります。

Q. 育休中や産休中に年次有給休暇は取得できますか?

A. 原則として、取得できません。この理由は「元々の会社の休みに有給は使えるか?」という疑問と考え方が同じです。育児休業や産前産後休業の期間中は、すでに労働義務が免除されています。したがって、その労働義務がない期間に、重ねて年次有給休暇を申請して取得することはできない、というルールになっています。

今回のまとめ

  • 休日は、会社がもともと休みと定めた日で、労働義務がありません。
  • 休暇は、本来働く義務がある日に、従業員が権利として休みを申請する日です。
  • 休暇には、法律で定められた法定休暇と、会社が任意で定める法定外休暇があります。
  • 会社の休日に有給休暇を充てることはできません。年次有給休暇は、労働義務がある日に利用するものです。
  • 無給の休暇でも、無断欠勤とは扱われず、不利益を回避する重要な役割があります。
  • 育児休業や産前産後休業の期間中は、すでに労働義務がないため、年次有給休暇は取得できません。

この投稿が少しでもお役に立てたら幸いです。